情報技術の革新とマーケティング
消費者がある製品・サービスを購入する条件を想定した場合、価格、機能、商品イメージ・認知度、提供企業のイメージ(CI)その他付加価値等など、様々な要因が考えられる。購入場所についても、近くのなじみの小売店、専門店、WEBで購入、などさまざまだ。選択肢が多様にあり、消費者一人一人にそれぞれの条件や制限があり、それは、時間や場所とともに随時変化していく。消費者はその場面場面で限られた情報の中から(無意識のうちにかもしれないが)判断し、行動している。
製品・サービスをマーケットに投入する企業の視点でみると、あらゆる顧客(ユーザー)にそれぞれのニーズに合わせたONE-TO-ONEの情報提供が行なわれることが最適なマーケティング戦略となるだろう。顧客のAIDMAレベルを考慮するとともに、ニーズ別などといった、より詳細にセグメントされた情報提供・コミュニケーションが求められる傾向にある。特に成熟市場においてはロイヤリティーを意識したマーケティング戦略が重視されている。
昨今の情報提供・コミュニケーション手段に視点を移してみると、これまでのマスマーケティングでは難しかった、状況別にセグメントされた情報を様々なかたちで提供できるインフラが整ってきている。たとえば、PCのIPアドレスや携帯電話のGPS機能を利用したローカライズされた情報提供、データベースとメールマガジン等を連動させたセグメント別の情報提供などとさまざまだ。
またブログやRSSリーダーなどといった新しいコミュニケーション・情報収集ツールが注目をあびている。ブログは企業の情報発信ツールとしても注目をあび、SEOについても親和性も高い。RSSリーダーはxmlをひとつの土台として成立しているが、xmlは将来的にみると、異なるデータベース間におけるデータ交換を行うためのインフラとして今後は重要な位置づけとなっていく。インフラ活用のためにはどのような形式でどのような情報(データ)をもっているかが問われる。
例えば賃貸不動産を例にとると、現状、ポータルサイト等の大小様々な情報を提供しているサイトは存在するが、それぞれの企業の所有(もしくは提携)する不動産情報しか扱っておらず、本当の意味で地域的・物件的に全ての情報を網羅しているサイトというものは存在しない。しかし、小さな不動産会社が個別にインターネットで情報を提供していると想定した場合に、その情報を一定のフォーマット(条件)におとしこむことで、その情報をある一つの特定のサイトのデータベースに集約して、全ての地域、全ての物件を網羅したサイトを成立させることも可能となる。その場合、集約された情報の価値は、個々の情報が持つ価値の総和をはるかに超えたものとなる。
上記のような技術革新を元に、ITをツールとした詳細のセグメント別のマーケティング戦略が可能となる状況を考えると、ターゲットを絞り、提供するべき情報を考えること、さらにその情報を蓄積し、精度の高いコミュニケーションを行うための分析を行う、といった仮説と検証のサイクルが重要となり、有効なマーケティング活動を行うための条件となってくる。
顧客のロイヤリティーを高め、顧客生涯価値(LTV)を向上させるといったマーケティング戦略を想定した場合、具体的な手段としては、データベースマーケティングが有効と考えられる。しかし導入のためのコストが高く、さらに投資対効果がみえなかったり、より体系だった考え方がないと有効に活用できないといった観点からも二の足を踏んでいる企業、経営者も多々あることであろう。
そこで考えられるのが検索連動型広告(P4P)を活用したテストマーケティングだ。オーバーチュア「スポンサードサーチ」やグーグル「アドワーズ広告」といった検索連動型広告は、ユーザーの属性、ニーズなどを把握・検証するツールとして役に立つ。
仮説を元にターゲットを想定し、ニーズを想定したキーワードを作成する。広告の結果(数値)を踏まえ、検証を行い精度を高めるといった一連の流れをトライ&エラーを繰り返しながら行うことで、精度の高い情報が蓄積されていく。アクセス解析ツールなどを併用してROIを検証することでますます精度の高い傾向がとらえられる。
さらには簡単に出稿でき、停止も容易というように導入障壁も低く、クリックされなければ課金されない仕組みから費用対効果も高いという条件がある。非常に導入しやすいツールであり、他のWebマーケティング手法とのシナジーも高いと考えられる。データベース導入済みの企業にとっても、蓄積されている情報を元に、既にセグメントされたニーズを想定して潜在的なユーザーを効率的に開拓するといった、リーチを広げるための手段として有効であり、新たなロイヤルユーザーを獲得するチャンスとなる。
企業として重要なことは、技術の革新が、その先の企業運営・戦略にインパクトを与える可能性があるということであり、経営者やマーケッターはトレンドをとらえることで、長期スパンを視野にいれた戦略立案を行うことが必要となる。それが他社との優位性を保つための一つの条件となってくるということだ。上記のような条件を考慮すると、有効な情報を持つこと、そしてその情報をどこに活かすかという視点が今後ますます重要になってくる。
投稿者 aun : 2004年12月24日









