検索エンジンの新たな時代
多くの検索エンジンはユーザーにとって有益な情報を提供しようとさまざまな工夫を凝らしている。検索エンジンマーケティングに携わるマーケターにとって、検索エンジンの動向は常に心に留めておかなければならない点ではないだろうか。
例えば、Google のユニバーサル検索やパーソナライズド検索、Google サーチ Wiki をはじめ、Microsoft が新たな検索エンジン「Bing」を打ち立ててきたのもそのひとつだろう。
Yahoo! と Microsoft の提携により、一層注目を浴びている「Bing」だが、これは単に検索結果を返すだけではなくユーザビリティに特化した「意思決定検索エンジン」と位置づけられている。
さらに、Google は2009年6月、新しい機能として「Google Squared」を実験的プロジェクトとして発表した。これは指定したトピックに関する検索結果を表で一覧化するという機能である。
こうした検索エンジンの動向の中で、にわかに注目を集めている検索エンジンがある。それが「Wolframalha(ウルフラムアルファ)」である。Wolframalha は Google のトップとしての座を脅かす可能性を秘めているとして話題を集めた。
Wolframalha とは、「知識検索エンジン」と称され、数式処理ソフト「Mathematica」の主要設計者である Stephen Wolfram(スティーブン・ウルフラム)によって開発された。2009年5月18日に公開され、専門家や研究家の間では次世代の革命的な検索エンジンであると注目されている。
具体的に、従来の検索エンジンと比較してどのような点で革命的なのか。例えば、数式を始め、「富士山の標高は?」や「1996年1月8日のロンドンの天気はどうだったか?」という問いに対して、従来の検索エンジンは答えを含んでいる可能性のあるドキュメントや Web ページのリストを返すが、Wolframalha は事実についての質問に対して、構造化されたデータを使って計算し、直接知識を計算(生成)して答えを返す。
「Bangkok to Tokyo」で検索した結果、タイのバンコックから東京までの距離はもちろん、飛行時間、検索時点の東京での日時とバンコックバンコクの日時(時差)、人口、海抜などの具体的数値を表示する。さらに、直接知識を提示するだけではなく、質問者の興味関心を引く可能性のある周辺情報までも、グラフやチャート付きで提供するのである。
開発者ウルフラム博士は、Wolframalha は複数の高速処理をこなしつつ検索結果を提示することが可能であり、人工知能的な振る舞いを行うという点で従来の検索エンジンと比較して革新性を持っていると述べる。
しかし、革新的な検索エンジンとして注目されている Wolframalpha にも未だ問題点はある。Wolframalpha は自分のデータベース内の情報に対して、かなり良質な構文解析を行うが、それらの情報は Web 上で検索対象となるデータではなく、Web とは無関係な知識の集まりであり、Web 上の全情報に比較すれば未だ微々たるものにすぎない。
元々 Wolframalpha は、研究用途で開発されたものであり、一般的なニュース・芸能・音楽等のカルチャーに関する情報は比較的乏しい。よって、一般的なユーザー間での影響の面では、直ちに Google の脅威になりうるとは考えにくい。しかし、将来的に Google のような世界的なブランドに成長しうるポテンシャルを持ち合わせていると考えられる。
Wolframalpha の登場や、ユニバーサル検索・Google サーチ Wiki・Google Squared など、情報はより整理され、検索結果はパーソナライズ化が進んでいるのが現状である。Google でいえば、「ユーザーの検索に関して、その意図をより良く理解する」ことを目指した結果の昨今の動向であると考えられる。
冒頭でも触れたが、検索エンジンの目的は、ユーザーが求めている情報に最適でかつクオリティの高い情報を表示することにある。膨大な Web の世界で、サイトが伝えたい情報を的確に検索エンジンに認識させ高い評価につなげるには、今後より上質な施策が必要不可欠になるだろう。サイトが持つ環境の質が向上すれば、結果としてユーザーに情報を的確に伝えることが可能となる。
Web マーケターが考えなくてはならないことは、単純に上位表示のみを考えるのではなく、ユーザーが求めている情報とサイトが発信する情報がいかに適合されていて、サイト自体のポテンシャル・クオリティが高いかということではないだろうか。
ユーザーが求めている情報に対して、クオリティの高い情報が発信されており、サイトとしての高い質を保っている限り、どんなに検索エンジン側に動きや変化があっても、サイトはユーザーの目に触れ続けることができるだろう。
投稿者 aunpr : 2009年08月06日











